4黒いパッケージの効果は?
(インタビュアー:「TEINEI」製作委員会)

橋本
白い色のパッケージに白身魚の鰆(さわら)を入れ、白っぽい焼売も入れました。どちらかというと明るい色の食材を入れました。
デザイナー
白い色のパッケージですと同化してしますね。
橋本
では黒い色のパッケージに変えてみましょう。いかがでしょうか?さらに赤いものが入るとおいしさを感じますので梅干を乗せて、緑のバランを入れ、対比を効かせてみました。そして黒を入れて引き締めるために、ゴマ塩も少々振りました。

デザイナー
とてもおいしそうに見えます。同じ食材を使用しているとは思えません。高級感が出ました。バランと梅干とゴマ塩が増えただけで雰囲気が変わりました。
橋本
和食は特に「目で食べる」といわれています。見た目は大切です。鮮やかな色の食材の場合は、白のお皿やパッケージで食材の色を際立たせるという方法があります。黒のパッケージが良く、白はダメというわけではないのです。
デザイナー
入れる食材の色によってなのですね。

橋本
日本のお弁当パッケージは黒や朱色をイメージした色が多く、漆をイメージしませんか?海外では漆を「ジャパン」と呼ぶほどの日本のオリジナル文化です。食品パッケージの色は漆の文化が多少なりとも影響しているのかと思います。
デザイナー
確かに黒、朱色は身近なお弁当用パッケージのカラーですよね。ところで昔はいわゆる庶民も漆を使っていたのですか?一般家庭にも漆の食器が普段使いとしてあったのでしょうか?
橋本
室町、鎌倉時代には貴族が使うようになり、江戸時代になって全国で豪商が誕生し、地域の特産品として漆器が生産されるようになったようです。高価なものですから、庶民が気軽に使うというものではなかったようです。
デザイナー
黒や朱色のパッケージに違和感がないのは、長く日本に続く漆文化の影響もあるのでしょうか?
橋本
本物の漆は使っていなくても、プラスチック製の食堂のお味噌汁の器、定食屋さんでも漆のような色合いの器が使われることが多いですよね。本物かどうかは別にして、非常に身近な色合いです。

橋本
白いパッケージの場合は、鰆などの白身魚の白を全面に見せてしまうと同化して引き立ちません。白身魚ではなく、紅鮭を使った方が目に留まりやすいです。あとは梅干しをひとつ入れるとワンポイントになりアクセントカラーになります。ご飯もおいしそうに見えます。
緑のバランとも引き合います。人間は色を1色だけで見ることはほとんどなく、梅干しとバランが同時に目に入ります。赤と緑はお互いの彩度を高める効果があるため、その効果が出て鮮やかでおいしそうなお弁当に見えますね。