2コロナを経験し「テイクアウト」が一般的に
(インタビュアー:「TEINEI」製作委員会)
今回のTEINEIのテーマはズバリ「売れるテイクアウトとは」です。フーケンの開催時は新型コロナウイルスの大きな騒動はまだありませんでした。むしろ日本国内はインバウンドの大盛況や、目前の東京オリンピックが話題となり、ホテルや飲食店の方々、そしてHiRASAWAにとっても「さぁこれから盛り上がるぞ!」という時でした。
橋本
2020年を迎えた辺りから情勢は一気に変わってしまいましたね。
デザイナー
実態の分からない未知のウイルスに翻弄されました。外出時の飛沫感染防止対策は絶対条件となり、マスクは生活していくうえで必須アイテムとなりました。それは同時に飲食を楽しむことを奪い取ってしまいました。
人が集まり、賑やかな会話と共に飲食をするということはコミュニケーションの一環でもあります。コロナ禍ではそれは許されない行為となってしまいました。飲食業界の皆様にはこのうえない危機です。
そしてその危機を乗り越えるため生まれたものもありました。そのひとつが「テイクアウト」だと思います。今回のTEINEI 3では「売れるテイクアウト」というテーマでトークセッションをしていただこうと考えました。
デザイナー
勿論以前からテイクアウトという形態はありましたが、コロナ禍では多くの飲食店が意識をされて取り組んでいらっしゃることと思います。

橋本
お店で提供しているお料理をそっくりそのままテイクアウトするのは難しいですよね。お弁当箱などのパッケージに移し替える必要があります。お持ち帰りに適さない食材もあると思います。
デザイナー
飲食店が集中しているエリアやデパ地下などで、何種類もあるような選べる状況だったとしたら「これにしよう」と思う決め手がないと難しいと思います。
橋本
買う側からすると選ぶ時間も楽しいとはいえ、そこまで長時間悩むものでもないですよね。やはりパッと見て「おいしそう!」と、直感で思わせる「見た目」は重要な条件です。彩りが大事といった言葉もよく聞かれますよね。
から揚げ弁当は定番中の定番ですが、茶色がメインです。もちろん、から揚げのみが目当てなのであればそれでも良いのですが、ドーン!とから揚げのみが詰まったお弁当というのも・・・。
デザイナー
そうですね。から揚げドーン!という攻め方ならば、ネーミングや全体的なイメージにもこだわらないといけないと思います。ただ詰めただけではやや雑な感じがします。
橋本
お店が訴求したいポイントというものがあると思います。とにかく量がウリのお弁当なのか、健康を意識したヘルシーさがウリのお弁当なのか。または辛さがウリのピリ辛弁当なのか。
暑い夏に涼し気に見せたいのか、もしくは寒い冬に買いたくなるようなホカホカ感を出したいのかなど、訴求ポイントは事前にしっかりと決めることが大切です。
デザイナー
健康、美容を特に意識したお弁当も最近はよく見かけますね。野菜が多くなり必然的にカラフルなものが多いような気がします。お弁当以外でもSNS映えを意識したような奇抜なカラーの食べ物もありますね。ある意味それも「派手に目立たせて買ってもらう」という目的から作られたものですね。
橋本
ご当地の味を意識したような、地方色豊かなお弁当というのもあるかもしれません。例えば沖縄をイメージするカラーや北海道をイメージするカラーなどは、なんとなく思い浮かびますよね。その土地の風土を感じさせる色の表現です。
日照率等の関係で、北の方は寒色系がきれいに見え、南に行くと暖色系がきれいに見えます。パッと見てすぐにその土地のイメージとぴったり合っていれば成功ですね。
デザイナー
「おふくろの味」「料理人の味」という心情的なものもありますよね。どちらもおいしそうなイメージを持たせることが出来るネーミングですが、見せ方は対極かもしれません。
これからテイクアウトをはじめようとする飲食店の皆様へ、HiRASAWAが飲食専門のデザイン会社として何がご提案できるのかを先生と共に考えていきたいと思います。