2高齢者に向けたフードグラフィックとは
岡村正昭先生
(以下敬称略)
(以下敬称略)
フードグラフィックの目的を改めて考えてみましょう。
「この商品を食べてみたい!注文してみよう」と思わせることが目的だとしたら、見えづらさを感じる利用者にとって、何が優先順位になるのか?
メニュー表のすべての文言が見えなくても、お店にとって、「このメニューを見て欲しい」、「このこだわりはアピールしたい!」など、見てもらいたい優先順位を付ける必要があります。
(先ほどからタブレットで某カレー専門店のメニュー表を見ています。当社の制作物ではありませんがこちらを例にします)
「この商品を食べてみたい!注文してみよう」と思わせることが目的だとしたら、見えづらさを感じる利用者にとって、何が優先順位になるのか?
メニュー表のすべての文言が見えなくても、お店にとって、「このメニューを見て欲しい」、「このこだわりはアピールしたい!」など、見てもらいたい優先順位を付ける必要があります。
(先ほどからタブレットで某カレー専門店のメニュー表を見ています。当社の制作物ではありませんがこちらを例にします)
長尾
カレーという商品の外見上の特性からして、全く見分けがつかないです。
同じような写真がずらっと並べられているように見えます。
同じような写真がずらっと並べられているように見えます。
岡村
カレーというのは分かりますよね?
長尾
はい。種類こそは分かりませんが。
岡村
ではこのメニューを見て、何を感じますか。
フードグラフィックで何を表現すればよいでしょうか?
フードグラフィックで何を表現すればよいでしょうか?
長尾
カレーの種類というのが分からないとまず注文ができません。
岡村
例えばこの九州風カレーというものをお店側は勧めたいと思っても高齢者には見えていない可能性もありますよね?
九州風という商品名は見ましたか?また、価格はどうでしょうか。
九州風という商品名は見ましたか?また、価格はどうでしょうか。
長尾
商品名も価格もよく見えないです。中盛650円?でしょうか?390円?
岡村
何が390円ですか?大盛ライスが390円増し?それとも小盛りが390円ですか?
長尾
分からないです。見えません。
岡村
では今、タブレットの明るさを調整します。
(岡村先生がタブレットの画面の明るさを最大まで引き上げました)
どうでしょうか。
(岡村先生がタブレットの画面の明るさを最大まで引き上げました)
どうでしょうか。
長尾
あ、見えました。先ほどより見えてきました。
岡村
白内障の対応で、明るさはとても大事です。
見え方を左右するのは照度なのです。タブレットの照度を最大照度まで上げると少し見やすくなります。
見え方を左右するのは照度なのです。タブレットの照度を最大照度まで上げると少し見やすくなります。
長尾
はい。見えます。先ほどより鮮明に見えます。
岡村
暗いと白内障はさらに見えづらさが増します。
一例ですが、子どもは暗い場所でも漫画や本を平気で読みますよね。
一例ですが、子どもは暗い場所でも漫画や本を平気で読みますよね。
長尾
まだレンズが濁っていない文字通りキラキラした子どもの目の頃ですね。
岡村
そうです。
親は心配して「そんな暗い所で本を見たら目が悪くなるよ」とよく言いますね。
でも子どもは平気なものです。構わず漫画を読んだりしていませんでしたか?
親は心配して「そんな暗い所で本を見たら目が悪くなるよ」とよく言いますね。
でも子どもは平気なものです。構わず漫画を読んだりしていませんでしたか?
長尾
確かに子どもの頃は暗くても見えづらく感じた記憶はありません。
岡村
親たちは、子どもよりもレンズが濁っているので、自分が感じる「暗い場所だと見えにくい」ことについて、注意をします。
長尾
タブレットや照明看板でデザインを提供するならば照度にも注意が必要ということですね。
紙媒体での提供ならば室内の照明も含めたデザインで考える必要があります。
紙媒体での提供ならば室内の照明も含めたデザインで考える必要があります。
岡村
お店の明かりはどうなっていますか?
メニューを見る環境はどのくらいの明るさですか?
高齢者へ向けたフードグラフィックを考える時に、その制作物を利用する環境についても意識して制作する必要があります。
メニューを見る環境はどのくらいの明るさですか?
高齢者へ向けたフードグラフィックを考える時に、その制作物を利用する環境についても意識して制作する必要があります。
長尾
白内障の方でも見やすい状況を考え、提案すること。
岡村
そうです。
デザインを実際の利用者と特性まで考えて作ること。
そこまでの検討が出来れば、白内障対応も成果が出てきます。
よく世間で言われる高齢者対応で、文字を大きくすればいいと思われていますが、それは、本質的な解決策ではないということです。
デザインを実際の利用者と特性まで考えて作ること。
そこまでの検討が出来れば、白内障対応も成果が出てきます。
よく世間で言われる高齢者対応で、文字を大きくすればいいと思われていますが、それは、本質的な解決策ではないということです。